世界のエネルギーニュース総括:11月1日


Forum on Energyの週刊ニュース総括では、ウェブ上からピックアップした世界のエネルギーに関する話題について取り上げています。ニュース総括は毎週木曜に公開され、Twitterアカウント@forumonenergyからも閲覧可能です。

福島事故後の原発停止による影響の研究:デメリットがメリットを上回る

マシュー・ナイデル氏、内田真輔氏、マルセラ・ベロネージ氏の3名による研究結果がこのほど発表され、福島事故の後に日本中の原子力発電所が停止したことによって電力価格と死亡率が大幅に上昇していることが示された。電力価格が上昇することによりエネルギー消費は抑制され、冬期の死亡率が増加しているという。化石燃料を燃やすことによっても、呼吸器への影響は増大する。これら二つの要因による死亡率の上昇を合わせると、津波と地震による死者数を上回る結果となることから、原子力発電所を停止させたことは悪手であったと本研究は結論している。加えて、一度に全ての炉を停止させたことにより、日本はエネルギー需要の85%までを輸入に依存するようになり、石炭、石油、天然ガスの消費量が増えた。これによって、さらに健康への悪影響が強まっている。コロンビア大学のデイビッド・ワインスタイン教授は、「私の試算では、もし日本が2012年に全ての(影響を受けなかった)炉の運転継続を決めて、石炭、石油、LNGなどの使用をそれに応じた分だけ抑えていれば、その年だけでも大気汚染による死者数を9,493人減らすことができたという結果が出た」と述べている。さらなる情報はこちらから。

出典:Forbes

 

サウジ、初の原発建設をめぐり5社と協議中

サウジアラビアは同国初となる原子力発電所の建設をめぐって、関心を表明した企業5社との協議を進めている。具体的な交渉相手は、アメリカのウェスティングハウス、フランス電力公社(EDF)、ロシアのロスアトム、韓国電力公社(KEPCO)、そして中国核工業集団(CNNC)となっている。これらの企業の名前は、今週水曜日にサウジアラビアのリヤドで開催された、「Future Investment Initiative」会合でのプレゼンテーションにて示された。それによると、サウジは石油の使用を止め、輸出に回すために原子力開発プログラムを進めているという。ペルシャ湾地域では既にアラブ首長国連邦(UAE)が4基の原子炉を建設中であり、サウジはそれに続く2番目の原子力利用国となる見込みである。UAEではKEPCOが競争を制し、200億ドルの契約を獲得している。

出典:S&P Global

 

原子力はアジアの電力需要に応え、大気汚染にも有効――WNAレポート

世界原子力協会(WNA)が発表したレポートでは原子力について、アジアで増加を続けるエネルギー需要を満たすのみならず、大気汚染や気候変動への対策としても役に立つと述べている。このレポートは『World Nuclear Performance Report 2019 Asia Edition』というタイトルで、昨年のアジアにおける原子力の発電量は12%増加し、石炭火力から排出されていたであろう5億トン以上のCO2排出を回避させたとしている。「シンガポール国際エネルギーウィーク」の場で発表されたこのレポートは、アジアにおける原子力の発展について報告しているほか、世界中の原子炉の大まかなパフォーマンスも掲載している。このレポートによると、昨年の全世界での原子力発電は合計2,563TWhであり、2017年から61TWh増加した。また、運転可能な状態にある原子炉計449基の合計設備容量は397GWeであり、これは4GWeの増加である。WNAのアグネータ・ライジング事務局長は、「アジアでは電力需要が増加を続けている一方で、汚染の少ない低炭素電源への移行が急務となっており、二重の課題に直面している。原子力はこれらを解決するカギとなる。……人類や地球にとって持続可能な未来を築くうえで、原子力が欠かせないものだと多くの組織が認めるようになってきている」と述べている。

出典:World Nuclear News

 

 

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