超党派が協力して原子力を奨励


米国原子力業界が近年低迷しているにも関わらず、米国政府は一丸となって原子力業界を支援するために一層の協力体制を敷いている兆しがある。

WASHINGTON - DECEMBER 8: The U.S. House of Representatives chamber is seen December 8, 2008 in Washington, DC. Members of the media were allowed access to film and photograph the room for the first time in six years. (Photo by Brendan Hoffman/Getty Images)1か月ほど前、COP21に先立ちホワイトハウスでは原子力サミットが開催されGAINプログラムが発表された。この重要な発表に続いて、米国下院の委員会では、米国の原子力業界に対して独立した支援を行い、プログラムを提供することを目的とした法案が紹介された。

下院科学宇宙技術委員会は最近、H.R. 4084、原子力革新能力法を提示した。この法律では、改良型原子炉技術の研究と開発を進めるための有望な対策を提案している。この法律は未だ初期の検討段階であるが、超党派の支持を得ている。

共和党の下院議員であるランディ・ウェーバー氏は「原子力革新能力法によって米国エネルギー省は改良型原子炉技術の研究開発インフラを優先することができ、それにより民間企業は改良型原子炉技術の開発を進めて行くことができる。改良型原子炉技術には生来的な安全性があり、廃棄物を削減し、高い熱効率を持ち、排出量はゼロであり、信頼性が高く、かつ核拡散に対して高い耐性を持っている」と説明した

全文 は入手できないが、The Hillが報じるところでは法案には以下の内容が主要なポイントとして含まれる。

  • 国立研究所から民間部門への技術移転の支援および新しい原子炉コンセプトを分析するため当該2部門間のパートナーシップの支援
  • 官民パートナーシップを通じた高度計算ソフトウェアの開発
  • 官民パートナーシップを通じた開発による多用途原子炉に基づく高速炉の構築
  • 民間部門によって提案された原子炉コンセプトを徹底的かつ効率的に分析するプログラムをエネルギー長官が実施する。これには連邦当局および国立研究所の専門家による徹底的なフィードバックの実施やトラブルシューティングの促進が含まれる

法案が明確に官民パートナーシップに焦点を当てていることを受け、民主党の下院議員エディ・バーニス・ジョンソン氏は「この法案によって国立研究所や大学、民間部門における改革者は米国の将来的なクリーンエネルギーを達成するために原子力が重要な役割を果たすことが可能となるツールを得ることができるだろう」と述べた。この法律が制定されるまでの法的な道のりはまだ長いが、両党から早い段階で熱烈な支援を受けたことで、将来のエネルギーにおいて原子力が極めて重要であるという認識に考え方がシフトすることを促す結果となっている。

法案だけではなく…

最近、有望視される新法律以外にも原子力業界に追い風となる超党派の協力が行われた。12月4日、驚くべきことに熱狂的な超党派の協力が行われ、オバマ大統領によって米国輸出入銀行の認可延長法案が署名された。これにより2019年9月まで銀行は安定的に業務を実施することができるようになった。

原子力業界だけに関係することではないが、5カ月前に輸出入銀行の認可延長に失敗したことが原子力業界に深刻な影響を与えたことに間違いはない。国際的な原子力合意に関して輸出入銀行の資金提供は重要であり、銀行の停止によって米国は事実上、世界的な原子力市場において競争力を失うこととなるであろう。

銀行は、米国が国際的な原子力市場で入札を実施する際になくてはならないものである。銀行の資金援助がなければ、新興原子力市場は米国の関与や技術提供を受ける選択肢を失って取り残されることとなり、中国やロシアの地政学的な影響力が拡大する可能性がある。これは長期的に見ると米国の戦略的利益に深刻な損害を与えることとなるだろう。

幸いなことに、数カ月に渡る政治的な議論によって超党派の協力が奏功し、3対1を大幅に上回る大多数による可決を経て銀行の再認可が法制化されることとなった。この展開は特に超党派の協力が奏功した例である。なぜならばこの過程は履行請願を経て行われたものであり、履行請願を行うということは、共和党の一般議員が下院議長の望む方向性や公式な見解に意を唱えることを意味するからである。

共和党のリーダーシップに突然変更が生じたことも含め、この状況は極めて特殊であり、その意義は決して軽んじられるものではない。輸出入銀行の再認可は、世界において原子力が競争で勝つために重要であるとともに、米国の原子力業界にとっては真の意味で勝利をおさめたのである。

  • Tags: