廃止措置:実施は進んでいるが、あまり効率的ではない


Screen Shot 2016-01-18 at 11.14.44 PM廃止措置に関する最初の記事でご説明したとおり、永久に稼働し続ける原子力発電所は存在しない。現在の発電所は平均40-60年程度の稼働が見込まれており、その間に、運転者は長期間に渡る廃止措置プロセスの計画と予算措置を行っておく必要がある。

米国では、廃止措置が完了する— かつ、土地が元の状態に戻される —までの期間は、閉鎖後60年以内とされている。原子力利用が始まったのは主に1960年代及び1970年代であるため、廃止措置プロセスが成功する方法が証明されるほどの時間は経過していないが、現在実施されている廃止措置の取組においては、遅延や課題が既に顕在化している。

廃止措置プロジェクトにおいてはコストが主な障壁となる; 廃止措置プロセスは時期が集中するうえ長期間に渡るため、費用を正しく見積もることは難しく、特に2040年までの期間は廃止となる炉が多いため、その問題が顕著となる。廃止措置の開始の際には、労働力、エネルギー、廃棄物処理が主なコスト要因となるが、プロジェクトが進捗していくに連れ、—長期間の保管が追加的なコスト要因となり—予算超過が良く起こる。

世界原子力協会によれば、現在153基の原子炉が「恒久閉鎖」のカテゴリーに入れられている。チェルノブイリや福島のような大きな事象が発生した場合には、炉の閉鎖は顕著に増加するものの、閉鎖される炉の大部分は、その役目を終えたか運転継続が経済的でないと判断されたかのどちらかである。また、廃止措置に関するファイナンスや政策が議論されている間に解体が遅延する炉も多々ある。これはドイツやフランスといったEUの国々で特に良く見られている。

しかしながら、廃止措置が完全に成功した例も数多くある。米国のコネチカット・ヤンキーは廃止措置と除染が成功した例である。その跡地は、使用済み燃料が乾式貯蔵されている数エーカーを除いて一般市民が利用できるよう開放されている。同発電所は、1996年に経済性の観点から運転継続が不可能と判断されて閉鎖され、その直後の1998年にDECON方式による廃止措置が開始された。一連の廃止措置プロセスはちょうど11年を要し、2007年に公式にサイトの開放が宣言され、完了した。

このケースは、スムーズな廃止措置のモデルであるのみならず、廃止措置の実施が非常に大掛かりとなることを示している。「迅速な」除染オプションを採用した場合であっても、10年以上に渡る集中的な取組が必要になることがある。このケースは、信頼性が高く炭酸ガスを排出しない電源—28年間の運転で、コネチカット・ヤンキーは1100億kWh を発電した—と時間とのトレードオフの関係を体現している。

原子力施設の廃止措置は、これまで全てがスムーズに進んでいるわけではないが、福島を含め、前進する確かな見込みがある。これまでで最もハイレベルな廃止措置プロジェクトの1つである福島は、継続的に前進が報告されている。日本は2017年までにリスク・マネジメント戦略を完成させる見込みであり、周囲を覆ったうえで2021年までに燃料デブリの回収を開始する予定である。一部からは、福島における廃止措置はいらだたしいほどに進展が遅いと見られているが、順調に成功したコネチカット・ヤンキーの廃止措置例でさえ長期間を要したことは、原子力施設の廃止措置は長期間を要するのが通常であり、かつ必要不可欠であることを示している。