新興市場における原子力の将来:ルーマニア


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Romania中欧の南東に位置し広大な面積を有するルーマニアは、EUの一員でもある。この国において、チェルナヴォダ原子力発電所に2基の原子炉を建設するための財源を確保することが、難を呈していたことが分かった。数十年続いた欧州の主要企業との合弁企業が倒産した後に、ルーマニアはCANDU炉3と4という原子炉2基の建設について、中国との合意を締結するに至った。

同地域における他の国と同様に、ルーマニアはウランや石炭をはじめとした天然資源に富んだ国である。この豊富さの一方で、ルーマニアはロシアからの天然ガスや石油の輸入に依存している。原子力発電への関心が増大した背景には、エネルギーの自給、生活水準の向上、炭素排出量の削減などの目標が挙げられるだろう。現在2基の原子炉が稼働している当該原子力発電所は、水力を除いたエネルギー源の中では最も低い価格で、国家の1/5の電力を発電している。

電気事業

ルーマニアの電気事業は、政府が出資する送電、システム管理者であるTrans Electrica社と、商業用管理を担当するOp-Com社により運営されている。この会社は、120を超える個別の供給先に加え、水力、熱、原子力、熱電併給などを管理する8つの配電会社を経営している。電力市場は2007年に完全自由化し、輸出入にかかる規制も撤廃されている。

エネルギー計画

ルーマニア政府は、2015年から2035年の間に電気事業を再興させることを目標とし、電線、相互接続、エネルギー生産をはじめとしたプロジェクトや2基の原子炉建設に対し、約1,230億ドルもの投資を行っている。しかし、Reutersは歴史的に政府の指針は不安定なものであったと指摘する。たとえば、「グリーン電力証書」の保証内容が変化したことや、2015年までに予算を削減するとしていた油井、ダムや電柱などの施設に対する課税が2014年に突然行われたことなどが挙げられる。

ルーマニアは、再生可能エネルギーや原子力発電の導入とエネルギーの効率化により炭素排出を削減する計画を立てている。New York Timesによると、2013年、EUの中で最も汚染された石炭火力発電所のうちの一つがルーマニアにあるとされたことに加え、国営の水力発電事業者であるHidroelectrica社が破産に追いやられている。しかし、ルーマニアは、2020年までにエネルギーミックスの中の24%を再生可能エネルギーにすることで、化石燃料エネルギーの輸入を削減することを望んでいる。「グリーン電力証書」の導入により活気づけられた投資家たちは、主に風力のプロジェクトに対し大きな投資を行っていた。この計画においてエネルギー事業者たちは、販売したメガワットごとに、再生可能エネルギーの供給者から「グリーン電力証書」を購入しなければならない。このコストは、最終的には消費者から徴収されることとなる。現在2,000MWを超えるワット数に証書が発行されており、同等程度の量についての導入も進められている。これが実現すれば、目標としている24%の再生可能エネルギー導入をほぼ達成することができる。しかし、2013年に政府は、2014年6月から、証書数の大幅な削減や、半数の証書についての保証を終了すると発表した。再生可能エネルギー支援に対する体制の突然の変化は、投資家たちを困惑させ、投資の意欲を削ぐことに繋がってしまった。

原子力の歴史

ルーマニアが原子力発電の導入を初めて検討したのは1970年代初期であり、この時期にチェルナヴォダにおいて5基の原子炉を建設することも決定された。ロシア産とカナダ産の双方の技術を吟味した結果、ルーマニアはCANDU-6タイプの原子炉を導入すると決断した。当初、原子炉5基全ての建設が始まったものの、1991年末、政府は第一基目の完成に注力するとした。そして、1996年に1基目が完成したのである。この原子炉は今日、86%の容量で運転しており、2006年には176TJもの電力を発電している。2000年には2基目の建設が優先課題だとされた結果、2007年にその建設が完了した。国営の原子力発電事業者であるSocietatea Nationala Nuclearelectrica (SNN)も1998年に設立され、以降チェルナヴォダ原発を管理している。2013年には、IFCとEUへのコミットメントとしてSNNの10%をIPOに売却している。

2007年に、ルーマニア政府は3基目、4基目の建設を同時に行うことを決定し、Nuclear ElectricaというSNNとの合弁企業を設立した。従来、この企業は6つの共同投資家を有していたものの、2013年までに彼らは続々と手を引いて行った。その直後、中国広核集団(CGN)がプロジェクトへの投資に関心を示した。そして2014年9月、CGNが2基の原子炉を建設するプロジェクトの出資者になることが合意された。これにより、より進化したバージョンのCANDU-6が建設されることになるだろう。ルーマニア内の他地域においても発電所を建設するとの方針から、5基目の原子炉を作る計画は現在延期されている。

現在進行中のプロジェクト

CGNによるCANDU-6原子炉の建設は、2015年に開始される予定である。

出典World Nuclear NewsAgerpresExport.gov, Reuters (1,2), New York TimesMondaq