アメリカにおける新型遠心分離法技術開発プロジェクト:USEC副会長、ポール・ジェイコブソン氏とのQ&A



株式会社USEC
は、世界的に名の知れた核燃料や発電機器の主要供給者である。同社は、「メガトンからメガワットへ」プログラムの監督者としても有名だ。これは、米ロ間で締結された20年間の契約であり、解体されたロシアの核弾頭から回収されるウランを希釈し、低濃縮ウランを販売するという計画である。現在USECは、米国の国有ウラン濃縮施設の管理を任されている。Forum on Energyは、USECの副会長であるポール・ジェイコブソン氏と共に、彼らが指揮を執る新型遠心分離法技術開発プロジェクトについて議論を行った。

 

Forum on Energy:新型遠心分離法技術プロジェクトとは何ですか。

ポール・ジェイコブソン氏: 2002年以降、USECは新型遠心分離機と呼ばれる、遠心分離法による高効率なウラン濃縮技術を開発・実証してきた。新型遠心分離法技術プロジェクトは、この技術を展開させた計画である。

オハイオ州パイクトンには、遠心分離法技術施設という先進的なウラン濃縮施設が設置され、商業的な核燃料の生成に不可欠な低濃縮ウランの生産が行われている。この施設の生産力は、米国における商業用発電炉の燃料需要量の約4分の1にも値し、国内の全電力供給の19%をも担っている。この施設は、国内で唯一自国の技術を使用する核濃縮施設として、長期的なエネルギー安全保障や国内の安全保障にとって非常に重要な存在となっている。この施設では、国内において発展、設計、製造されてきたUSECのAC100遠心分離機が利用される予定だ。AC100の設計は、従来米国エネルギー省(DOE)によって進められていた機密扱いの遠心分離技術を発展させて行われ、その実証は1980年代に成功した。DOEは技術の進展のため、10年の間に300億ドル以上もの投資、約1,500機の装置の建設、1,000万時間以上の機械実行時間の蓄積を行ったとされている。

USECは、先進的な器具、最新の電子工学、高度なコンピューターモデリングの技術に基づく設計の改良により、DOEが有していた技術を発展させた。その結果、AC100は各機につき約4倍もの産出量を生産できるようになったのである。これは、今日存在しているどの遠心分離機よりも高い効率性を誇っている。新型遠心分離機は、その技術の高さが証明され、DOEとの共同プログラムにまでになった。二大基準である5つの実績指標と一連の追加的試験を通過し、10個すべての技術工程を満たすことに成功したのである。

新型遠心分離機は、米国原子力規制委員会(NRC)により建設、運営許可が発行されている。経済的な優位性だけでなく、エネルギーの生産や雇用の創出を通して、環境面、エネルギー安全保障面、核不拡散という観点、国家の安全保障面においても大きな便益をもたらしているのだ。

Forum on Energy: なぜこのプロジェクトは必要なのでしょうか。

ジェイコブソン氏: ウクライナで展開されている事態は、燃料供給の多様性と競争力が低下することの危険性を示唆している。今日の世界には、ヨーロッパ式とロシア式という2種類の濃縮技術しか存在していない。そのため、米国がウラン濃縮市場において国際競争力のある技術を確立しなければ、エネルギー安全保障における危機的な状況や価格競争に際して、消費者が弱い立場に立たされてしまう。

Forum on Energy:商業化を達成するために、どの程度の期間、そして予算を見積もっているのでしょうか。

ジェイコブソン氏: 現在の国際的な核燃料市場の状況を踏まえると、現状では新型遠心分離機を商業的規模の運転に移行することは現実的ではないと考えている。しかしながら、市場の状況が改善した暁には、商業化に向けて準備を行う予定だ。

Forum on Energy: 近年の組織再編と、オークリッジ国立研究所の役割が、このプロジェクトに与える影響はどのようなものでしょう。

ジェイコブソン氏: 2014年5月1日に締結された米国遠心分離法技術に係る実証・運転協定では、国家安全保障のために信頼性と効率性の高い国内ウラン濃縮容量を維持することや、将来的な商業化に向けた展開を推進することが定められた。DOEはオークリッジ国立科学研究所に対し、同目的達成に向けた援助を行うよう命じ、これに基づき研究所はUSECの下請けを担うことを選択した。この協定は、パイクトンにおける120機の先行カスケード実証の継続を定めている。テネシー州オークリッジにおいて、USECの実験施設を活用した試験も継続する予定だ。新型分離機の核心的な研究や技術活動については、オークリッジにおけるUSECの遠心分離技術施設で引き続き行う。また、USECは研究所に対し定期的な報告を行う予定だ。

Forum on Energy:資金調達の観点から見ると、新型遠心分離機プロジェクトの実行計画や完成には、どのような不確実さが残存しているでしょうか。

ジェイコブソン氏: 実行計画と技術に対する資金調達については、二つの要素が変動中だ。一つは、商業的な核燃料市場の状況、そしてもう一つは、米国政府のウラン濃縮にかかる国家安全保障戦略の方向性だ。米国政府は現在、ウラン濃縮にかかる国家安全保障をどのように実現すべきかについての検討を行っており、2015年までその案は固まらないであろう。また現在、オークリッジ国立科学研究所との契約とそれに伴う資金提供は2015年3月31日まで延長することが決定している。研究所は、契約をさらに6カ月間延長し、2015年9月30日までとすることも可能である。