原子力についての変化する意見:「パンドラの約束」監督ロバート・ストーン氏とのQ&A


一年前、ドキュメンタリー監督のロバート・ストーン氏は最新作『パンドラの約束』を公開した。このドキュメンタリーは、環境運動の進化に関するもので、運動が「反原子力」から「原子力は気候変動を遅らせる戦いの中で重要な要素である」と考えるように変化する様を描いている。制作に3年を要したこのドキュメンタリーは、彼のアカデミー賞候補であった反原子力の映画、『ラジオ・ビキニ』から始まる彼自身の知的な旅路でもあった。

Forum on Energyは、『パンドラの約束』制作の理由についてストーン監督へインタビューした。

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Forum on Energy: なぜ原子力発電に関するドキュメンタリーに焦点を当てることを選んだのですか?

ロバート・ストーン: 環境運動の高まりに関する前作品を撮り終えた後、思いついた。前作品は、環境運動の気候変動と戦うために頼りにされてきた全体的なアプローチは、壮大なスケールの失敗であったというものだ。1970年代の驚くような成功とは裏腹に、過去25年間、世界の環境状況はどんどん悪くなっている。

このような状況を前に、原子力について議論することすら頑なに拒否する環境運動は、馬鹿げていると思うようになった。原子力は、特に化石燃料への依存をめぐって我々が直面する危機のことになると、諺で言う「話したくない重要な問題」であるように私には思えた。環境保護主義の歴史に踏み込み、アカデミー賞候補になった反原子力ドキュメンタリー(『ラジオ・ビキニ』)からキャリアが始まった人物として、私は議論の本質を変えることについて、何か特別なことを言えるのではないかと感じていた。私のような、原子力に関する考えを変えた人々の話を伝えることは、非常に偏向的で、政治的にそしてイデオロギー的なものに満ちたこのテーマに、合理性と新たな考え方をもたらす並はずれた力をもつ方法だと感じた。

Forum on Energy: 原子力に関するトピックの中で、カバーするトピックをどのように決めたのですか?

ストーン: 原子力という問題を扱う中で、この技術に対する反対の基本的な特徴を批判し、安全性、廃棄物、核不拡散、コストといった問題の根底にある根拠と欠陥を明らかにする必要があると分かった。これをやる一つの方法は、原子力技術は、今日の原子炉のほとんどのベースとなった1960年代・70年代の原子炉から大いに進歩したという、あまり知られていない事実を明らかにすることだ。IFRの話は、どのように根本的に新しい設計が実際に開発され、実証され、政治的な反対によって断念されたかということを示す最善の方法であるように思える。その結果、我々は大規模に発電でき且つ経済性を持つような、化石燃料を代替するものを得ていない。

Forum on Energy: この思索の結果、原子力発電への全体的な印象、また原子力発電の将来に関する印象はどうですか?あなたの個人的な意見は、映画とは異なりますか?

ストーン: 私の個人的な見解は、映画の中にある。インタビュー相手の選択、インタビューの編集や話の伝え方を考える中に含まれている。私は、原子力は不可欠のものだと確信している。唯一の疑問は、石炭や石油、ガスの利用―特に石炭の利用―を徐々に下げ始めることができる規模で原子力を利用し始める前に、どれだけ環境へのダメージがあるか、だ。

Forum on Energy: 映画に入れておきたかったけれども編集でカットしたままになっているものは何かありますか?

ストーン: あるとも言えるし、無いとも言える。コストの問題や、世界中で開発されている胸躍るような新しい原子炉の技術について話しておきたかったことがたくさんある。一方で、90分で話を終わらせる必要もあった。単純に考えて、人々はそれ以上長い時間は耐えられないだろうから。それから、率直に言って、コンピューターのモデルの場合でもほとんど当てはまるような、コストについての議論とか、格好いい原子炉の設計とかについてはそこまで興味を引かれなかった。私の目的はすべての疑問に答えることではなくて、これまで単純にされてこなかったような対話を始めることだった。少なくとも、気候や工業汚染について最大限配慮するように訴えている人々の間の対話を。そうなれば、私はあらゆる期待以上の成功を収めたと思う。

Forum on Energy: 『パンドラの約束』の制作は終わり、世界中の観客に見られましたが、現在はどんなことに取り組んでいますか?

ストーン: もう一度、我々に大きな問題について考えさせる契機となることを目的に、『パンドラの約束』から出てくるような類の新しい映画を作り上げている最中だ。―我々が地球規模の問題に取り組むうえで共通の目的を見つけ始めることになる、壮大で意欲的な目標を我々に思い起こさせるような映画を。この映画は、人間の宇宙旅行の歴史と未来についてのもので、宇宙の働きについての新たな理解や、この惑星から旅立つ能力がもし我々に与えられたとしたら、人間の文明がより大きな物事のスキームの中でどのような場所を手にするだろうかということについての映画だ。人間であるとはどういうことかについて、現代技術や現代科学がどのように我々に再考させるようになったかについて見つめた映画だ。

私はまた、環境という観点から原子力についてより良い理解を伝えるうえでの、『パンドラの約束』の働きを継続させるためのNGOを立ち上げている。

Forum on Energy: 日本ではこの映画についての報道があまりされませんでした。日本で上映する予定はありますか?

ストーン: 実際、この映画は日本では限られた映画館でしか公開されなかったが、現在はDVDが発売されており、iTunesやNetflixでも見られると思う。