新興市場における原子力の将来:韓国


この記事は、Forum on Energyの「新興市場における原子力特集」の一環である。他の記事についてはこちらをご覧ください。

 

韓国の民生用原子力事業は、大部分が国産であり、韓国の安全性に定評があるハイテク原子炉により、韓国は原子力技術で強い輸出競争力を得ている。2030年までに80基の原子炉を輸出するという目標とAPR-1400の高い設備利用率を受けて、韓国は日本やロシア、フランスといった他の原子力技術輸出国にとって厄介な競合相手となっている。原子力は韓国にとって戦略的優先度が高い。なぜなら韓国は石油や天然ガスといった天然資源に乏しく、多くを周辺国に依存しているからだ。韓国は付随的な低炭素の利益も含めて原子力を国産のベースロード電源として容認してきた。しかし、原子力発電所での不適切な管理に関する最近のスキャンダルによって、原子力発電のリスクに関する国民の懸念が生じている。福島事故に伴う国民の懸念は、将来の原子力拡大計画を失速させるのに十分だ。

sk1需要

韓国の高いエネルギー需要は、ここ数十年間伸びてきた経済にともなうものだ。増大する電力需要の内訳は、第一に民生需要、次に産業、商業需要と続く。一つには、経済協力開発機構(OECD)内で最も安い、意図的に低く抑えられた電気料金が需要に貢献している。

供給

電力供給は対応できなくなっている。過去数年間、韓国の予備率は3.8%程度しかない。天候の変化や発電所の停止という想定外の事態が発生すると、政府の義務的な省エネルギーや定期的な停電を引き起こすことになる。

主力の電源は、在来型の火力発電所と原子力発電所である。火力発電所は国内の電力の60%以上を発電しており、そのほとんどは輸入炭やガス、液化天然ガス(LNG)によるものだ。韓国は日本に次いで世界第二のLNG輸入国であり、第三の石炭入国である。資源がないことから、韓国は再生可能電源による発電を拡大しようと考えており、そのほとんどは原子力発電によるものであるが、風力や太陽光も検討している。

原子力発電は消費電力の30%近くを占めており、この割合は増加するとみられている。現在、韓国は4つの原子力発電所23基の原子炉で20.5GWを発電している。原子炉の設備利用率は96.5%である。原子炉が集中して立地していることにより、メンテナンスの効率性や低コストを実現するとともに、送電効率も向上する。

sk2Business Monitor Internationalは、韓国の2013年から2020年の間に総発電容量は4.3%増えて525.5TWhに達するとしている。その中で、原子力産業の成長は11.5%になると見込まれている。政府は現在進行中のプロジェクトを進める考えだ。成長率は年平均で5.1%を継続し、成長のほとんどは次の10年間の後半で起こるとBMIは推測する。11~14基の新設が予定されている中で、9基は建設されるが、スキャンダルを受けた国民の不信を前提にすると、産業界の将来の成長は計画よりも失速する、とBMIは予測している。

原子力発電に加えて、エネルギーミックスの1%は水力発電によるものだ。政府は再生可能エネルギー発電量を二倍にすることを推し進めているが、場所が限られることや、天候の季節的な変化により、水力はいい選択肢にはならない。韓国は2019年までに洋上風力の容量を25億kWへ拡大する計画だ。

出典EIAPowerMag.comBusiness Monitor International

歴史

韓国が1957年に国際原子力機関に加盟してから、同国の原子力活動は始まった。1958年、原子力法が成立し、1959年には原子力局が政府によって設立された。韓国最初の原子炉は、1962年に臨界した小さな研究炉である。

10年後、最初の原子力発電所の建設が開始された―古里1号機、ウェスチングハウス製の原子炉で、ターンキー契約での建設であった。古里1号機は1977年に稼働し、1978年から商業運転を開始した。これ以降原子力開発は加速し、1980年代初めには8基の原子炉が建設された。

韓国初の発電所は、米国からの技術支援を受けて1978年に運転を開始した。

米韓原子力協定は1973年に締結され、有効期限は30年とされた。翌年、協定は2014年3月19日まで11カ月延長された。2003年以降、新たな協定が議論されたが、2013年に交渉は失敗に終わった。代わりに、期限が2年間延長され、2016年3月19日が満了日となった。

原子力協定交渉は、韓国が濃縮・再処理の権利を許可されるかどうかをめぐって決裂した。米国は、韓国の核兵器保有に対する従前の関心や、朝鮮半島における歴史的な核拡散リスク、1992年の朝鮮半島非核化共同宣言をめぐって懸念を表明している。

濃縮・再処理活動への事前同意に対する韓国の要求は、二つの目的がある。一つ目に、韓国は、包括的な原子力技術と燃料供給サービスによって世界の民生用原子力市場の20%を占めるため、ウラン濃縮を行いたい。また、韓国は放射性廃棄物の問題へ対応するため再処理能力を必要としていると主張する。韓国では貯蔵容量にほぼ達してきており、原子炉の継続的な稼働確保に必要な貯蔵容量拡大もできていない。

韓国は、再処理のこの方式は核不拡散性が高いと主張する。しかし、米国は、再処理は兵器級プルトニウムをもたらすことになると反論する。それに加えて、米国は韓国がウラン濃縮と原子炉販売を一括化する必要はないと確信している。この状況が解決されないまま、この問題をめぐるさらなる交渉は2年間延長された。

出典:World Nuclear News (1,2)、Brookings

パートナー

国内の原子力発電所建設は、この分野に技術的に精通した韓国の企業によって行われている。KEPCOの子会社である韓国水力原子力(KHNP)は、新古里3号機、4号機という新たな原子炉を建設予定だ。プロジェクトの作業は2009年から開始され、APR-1400が建設予定であり、それぞれ1.35GWの出力となる見込み。建設工事は総額63億ドルで、そのうち12億ドルを斗山重工業、3億ドルをウェスチングハウスが部品供給として契約締結した。現代コンソーシアムが原子炉を建設する予定であるが、ケーブルの偽造品質保証が発覚したことで、商業運転開始が遅延し、最も早くて2013年9月にずれ込んだ。

新蔚珍1号機から4号機の建設は、KHNPが必要な許認可を確保できなくなったため遅延しており、新古里7、8号機はKHNPが土地を確保できなくなったため取りやめられた。

韓国は原子力技術において新たな国際的リーダーである。2009年12月、KEPCOはアラブ首長国連邦で4基のAPR1400を建設する、200億ドルのプロジェクトを受注した。また、韓国はヨルダンで研究炉を建設する合意に達し、フィンランドやハンガリー、ベトナム、トルコ、インドネシア、インド、中国での活動を推進している。マレーシアも韓国の技術に関心を示している。

出典:World Nuclear News (1,2,3,4)

懸念

2012年11月、5基の原子炉で使用されている5,000以上の小さな部品が適切な保証を得ていなかった。8つのサプライヤーが60以上の許認可を改ざんしていたことが発覚した。1年後、偽造品質保証書とその部品が実機で適用された。この発覚で2つの発電所が停止することとなり、さらに2つの発電所が部品の交換が終わるまで停止させられた。停電を避けるため、消費者は6GWの節電を要請された。

出典World Nuclear News

結論

原子力技術は、国内的なエネルギーセキュリティと言う観点、また輸出のエンジンという観点から、韓国にとって高い優先順位を維持すると予測される。民生用原子力製造業者は、韓国の国内生産をパートナーシップの潜在的な市場としてみるべきであるが、韓国は新興原子力市場における輸出の強い競合相手としての存在感を増している。