リソース・ガイド:日本における二酸化炭素排出量について


日本政府はこのほど、温室効果ガス排出量に関する以前の約束を撤回すると発表した。ワルシャワで開催された国連気候変動会議において、日本代表は2020年までの削減目標を2005年比3.8%減とすると説明した。これは、前回の約束である全体削減値25%からの大幅な後退になる。この撤回の理由は、2011年の福島第一原発事故を受けて原子炉を停止して以降、今なお国内でエネルギーの将来に関する議論が行われているためだ。

Forum On Energyでは、この決断が今後の日本に及ぼす影響について概観する。

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気候変動問題における数値目標について

11月15日に開催された国連の気候変動に関するワルシャワ国際会議で、日本は温室効果ガス排出量を1990年比で25%削減するという以前の計画を撤回し、排出量を実質的には3%増加させると発表して、各国代表を驚かせた。日本代表は、排出量削減の後退を原子力計画の中止によるものと説明した。この新たな目標値を、中国、米国、インド、ロシアに次いで世界第五の二酸化炭素排出国である日本にとって大きな後退であると多くの国が見ている。

2011年の津波と福島第一原発の炉心溶融以前は、日本の電力供給の25%以上を原子力が占めていた。事故後、稼働していた原子炉50基が、安全点検のため稼働を停止した。現在停止中の原子力発電所は、それまでは二酸化炭素排出削減の高い目標値を達成するためになくてはならないものであり、日本は拡大する電力需要を原子力発電でまかなう計画であった。

出典BloombergReutersThe Japan TimesNature World News

 

原子力の議論としての気候変動

エネルギー資源としての原子力が姿を消したことで、日本は天然ガスと石炭の輸入に頼らざるを得なくなり、温室効果ガス排出量が目標レベルを上回り増大した。原子力への高い依存からの転換により、最終的には電力の50%を原子力でまかなう計画であった日本のエネルギー政策は大きく変化することになった。

Bloomberg Newsによれば、石原伸晃環境大臣は、「2020年の原子力発電所の稼働状況について今はまだ見通しが立たない。この数字は、我々が経済成長を目指しつつ、最大限努力することで達成しようという、意欲的な目標値である」と話している。

Reutersによると、日本の電力会社10社の10月の天然ガス消費量は2012年比で8.4%増加し、石炭消費量も4.4%増加した。これは日本の企業が原発の停止に伴い、代替エネルギーとして化石燃料をより多く使用したことによるものだ。

出典The New York TimesGlobal Post

 

今後の見通し

安倍政権は原子力への回帰を目指しているが、大きな反対に直面している。その一方で、安倍首相は日本の原子力依存を、時間をかけて減らすとも主張している。日本と二国間協定を結んでいる国は現在8カ国だが、それを今後3年間で倍に増やしたいとも述べている。停止中の原子力発電所の安全点検は、年間を通して実施される予定であり、2014年のできるだけ早い時期に最初の再稼働を行いたいとしている。しかし、原子力発電所が、原子力規制委員会の極めて厳しい安全審査に合格するかどうかの保証はない。

事態が急を要することから、日本政府は代替エネルギー確保の問題に迅速な決断を下さなくてはならない。これまで原子力に依存していたため、日本の再生可能エネルギーのレベルは依然として低いままであり、ベース電源を代替するにも、高価な天然ガスや、より安価な石炭を利用するしかない。このことから、当面は二酸化炭素排出量削減の問題は棚上げされることになる。

世論は依然として原子力発電に強く反対しているが、温室効果ガス削減の約束が揺らいでいることや、化石燃料への依存の拡大により原子炉再稼働の主張が説得力を持ってくるかもしれない。

出典The New York TimesBusinessweekThe Carbon Brief