小まとめ:原子力規制委員会の新規制基準


先週の6月19日、日本の原子力規制委員会(NRA)は、停止中の48基の原子炉を再稼動させるための新たな安全基準を公表した。この法的拘束力のある規制によって、いくつかの原子炉を来年再稼動させるプロセスが開始される。再稼動の申請は早くて7月8日から月末まで提出できる。13の申請が予測される、とThe New York Timesは報じた。Reutersがまとめたファクトシートによると、5つの電力会社が申請を行うだろうとされている。

新たな規制基準では、事業者はこれまで以上にシビアアクシデント対策を実施しなければならない、とJiji Pressは報じている。記事によると、「新基準の下では、事業者は地震学者が予測する最大級の津波から原子力発電所を守らねばならない。もし発電所の敷地の一部でも浸水すると予測されれば、事業者は原子炉建屋に要求されるものと同様の耐震基準に則った防潮堤を建設しなければならない。」とのこと。また、事業者は、発電所から離れた位置に第二制御室を建設しなければならない。新たな基準の下では、事業者には新たな施設の建設の猶予期間として5年間が与えられている。

NRAは地震対策に特別な関心を払っている。原子力発電所は、活断層の上に建設することは許されていない。活断層の定義が変更されない一方で、過去13万年間、断層が動いた形跡がないことを証明することは事業者の義務ではなくなった。もし活断層である可能性を除外できなければ、事業者は40万年前に遡って、断層が動いた形跡がないことを証明しなければならなくなった。

2011年以降、年間160億ドルの損失を負っている原子力発電会社にとって、原子力発電所再稼動の見通しは、励みになるものである。Reutersは、事業基準からすれば、日本の電力会社は破産状態と判断され、銀行ローンの責任を負わない状態と報じている。その一方で、より厳しい新たな地震・津波基準に対応するための原子力発電所の改良工事費用は、120億ドルとなることが予測される。しかし、事業者が新基準にどうにか適合したとしても、再稼動許可が下りることが保証されるわけではない。

「電力会社は再稼動についてまったく楽観視できない。なぜなら再稼動を求める電力会社と、国民の信頼回復のため厳格さを示す必要があるNRA双方の必要性が正面からぶつかっているからである。」と、頻繁に訪日している原子力エネルギーアナリストのマイクル・シュナイダー氏は述べた。

原子力発電反対派は、依然として原子力発電所の再稼動に反対し、NRAは政治的、産業界からの影響を受けやすいのではないかと疑問を抱いている、とThe Miami Heraldは報じた。「新たな規制基準の施行日を設定した水曜日の決定は、法的な期限の2週間も前であり、電力会社ができるだけ早く原子炉を再稼動できるように、産業界や政治的な圧力があったのではないかとの疑念を生んでいる。」

「期限に間に合うように作業を急いだ結果であることは明らかである。」と原子力専門家であり東京大学名誉教授の井野博満氏は述べた。「もし福島事故のような災害を再び起こさないことが新しい基準の主目的であるならば、何が起きたのかについてもっと理解が進み、すべての教訓を学ぶまで待つべきであった。」

さらなるリンクと情報は以下の通り。規制基準草案の翻訳についてはここをご参照ください。

  • 「日本の原子力発電所に対するより厳しい規制」、Deutsche Welle、2013年6月24日。GRS(原子力安全と放射性廃棄物管理分野に特化したドイツに本部を置く組織)のプラントエンジニアリング部門トップのミヒャエル・マクア博士のインタビュー記事。マクア博士は、新たな規制が停止中の原子炉再稼動に向けて、どのように道筋をつけるかについて説明している。
  • 原子力規制委員会(日本語英語)。日本の原子力規制委員会のウェブページ。
  • Japan Daily Press(英語のみ)。関連ニュースと福島事故後の規制プロセスの分析を含んだJapan Daily Pressによる原子力規制委員会のウェブページ。