インフォグラフィック:米国原子力安全規制組織図概観


Forum on Energyの新たなインフォグラフィックでは、原子力安全を規制する上で中心的な役割を果たす主要組織の概観を示し、各組織がどのように相互に作用しあっているのかについて説明する。下のインフォグラフィックでは、政府、原子力産業界、利益団体、そして研究機関が、充分な安全基準が策定され実施されることを確保するため互いに協力し合っていることがよく分かる。

組織や団体については、グラフィックの下方にそれぞれ説明されている。この図を保存して、皆様のウェブサイトで公開したり、この記事にリンクを貼ることで、自由にご活用ください。拡大図はここをクリック

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原子力規制委員会(NRC

原子力規制委員会

原子力規制委員会

NRCは、すべての民間原子力計画に関する原子力安全規制を監督する、独立した連邦機関である。NRCは、米国の原子力安全規制における中心的存在である。NRCは他のどのような組織や団体の影響力も受けない。

任務:

NRCは、健康及び安全、安全保障を促進して環境を保護するため、核物質の民生利用を規制している。NRCの権限は、原子炉、核物質及び放射性廃棄物に及ぶ。NRC安全規制は、地震や洪水、冷却パイプ破損といった設備の機能不全などの外部事象、また環境への放射性物質漏洩につながりかねない他の諸問題の影響に対処する。

構成員:

委員長、委員、何千人もの専門職員

他機関との相互関係:

・   委員長は大統領が指名する

・   委員長は大統領と同じ政党出身であること

・   委員は米国議会が承認する

・   年一回、米国議会から資金提供を受ける

・   NRCは他機関からどんな影響も受けない。NRCは公益のための任務を遂行する。しかし、毎年米国議会に対して予算が正当なものであることを証明しなければならない。NRCの規則は、成立する前に国民のレビューや議論に晒される。この点は日本の新規制と類似している。

・   NRCは独立しているので、批判は受けても活動がそれに影響されることはない。もちろん、批判に応えていく、という選択肢を取ることも可能だが、そうしなければならない、という決まりはない。

・   注:委員長を指名するのは大統領であるため、NRCのプロセスが政治によって影響を受けることはある。

批判:

原子力を批判する人々は、NRCは原子力産業に財政的負荷がかかったり、その破壊につながるような場合、安全規制が例え必要なものであってもそれを課すことを渋っている、と批判する。しかし、原子力産業は、費用がかかる安全規制案は不必要であり、莫大な既存の安全マージンをさらに大幅に増大させるつもりはない、としばしば主張している。(CRS、マーク・ホルト氏(2012年))

原子力発電運転協会(INPO

原子力発電運転協会

原子力発電運転協会

 

 

 

 

 

 

 

 

INPOは原子力産業界から資金を受け、そのメンバーによって構成されている民間諮問機関である。米国の原子炉は一様ではないので査察は有用であり、また、パフォーマンスを高めるために原子炉の多くはサイト毎に調整されている。

任務:
INPOは原子力産業界のパフォーマンス目標、基準、発電所操業のためのガイドライン(NRCが要求するレベルよりも高い)を設定する。INPOは発電所の評価を実施し、その結果は業界メンバーで共有される。

他機関との相互関係::

  • 資金は原子力産業界が拠出
  • NRCよりも厳しい安全基準を設定
  • NRCからの計画支援あり
  • INPOのパフォーマンス査察は発電所の保険料率に影響を与える

国立研究所

国立研究所

国立研究所

 

 

 

 

 

 

 

 

アイダホ国立研究所のような国立研究所は、政府資本の研究機関であり、原子力技術の研究を行う。エネルギー省と緊密な提携を持つ研究機関もある一方、それ以上の緊密さで大学と提携している研究所も多い。(例:リバモア国立研究所)

支援団体と監視団体

支援団体と監視団体

支援団体と監視団体

 

 

 

 

 

 

 

 

支援団体は、様々な方法を活用して原子力政策に影響力を発揮しようとする。監視団体は、政府機関を監視し、外部チェックを行う。活動内容は不正、浪費、不始末、権力の濫用とみなされる行為に関して報告書を提出することなど。米国の原子力分野におけるこのような団体の例は、憂慮する科学者同盟で、この団体の任務は稼働中の原子力発電所で現在問題視されている安全問題の追跡・監視である。

任務:
支援団体及び監視団体は、数も多く分野も様々で、それぞれが固有の任務についている。

他機関との相互関係:

  • 報告書や最新情報、提言などを発表する。しかし、意思決定プロセスにとってそれらは末梢的ともいえる。

米国議会

米国議会

米国議会

 

 

 

 

 

 

 

 

米国議会は規制制度全体を監視する。

構成員:
選挙で選出された米国市民で、自分の選挙区に対して責任を持つ。

任務:
米国議会議員は自分の選挙区の利益を代表し、公共の利益を守るためにそれを国家利益と対比考慮する。

他機関との相互関係:

  • ホワイトハウスによるNRC委員の指名、資金拠出提言を承認する。
  • 原子力産業界のインセンティブまたは阻害要因となる一般政策規制を策定する。
  • NRCに対してロビー活動をする。議会議員に政治力があればNRCから良い反応が得られる可能性がある。
  • 個々の議員は原子力産業、監視団体、支援団体などからロビー活動を受ける。

ホワイトハウス

ホワイトハウス

ホワイトハウス

 

 

 

 

 

 

 

 

ホワイトハウスの役割は多岐にわたる。その一つは活動を通して、原子力規制の政策方針の方向を発信していくことである。

構成員:
選挙で選出された大統領。様々な政府機関から選ばれた専門職員。

任務:
原子力安全規制に関するホワイトハウスの任務は、任命、資金拠出提言、法案を通して政策の焦点を発信していくことである。

他機関との相互関係::

  • エネルギー省をはじめ他諸機関への資金拠出を指定する
  • エネルギー長官、NRC委員の指名
  • 命令の発令

エネルギー省(DOE

エネルギー省

エネルギー省

 

 

 

 

 

 

 

 

米エネルギー省内にある原子力エネルギー局には、次官補級のポストを置く。エネルギー省の予算の中には、大学の技術向上研究のための助成金が含まれる。

ごく最近エネルギー省は、最高のSMR(小型モジュラー炉)設計を見出すキャンペーンを実施した。コンテスト優勝者には、試作機建設のための追加資金が授与された。

任務:
エネルギー省の任務は、科学に基づいた技術ソリューションを通して、エネルギー、環境、原子力の課題に取り組むことにより、米国の安全保障と繁栄を確実なものにしていくことである。

他機関との相互関係:

  • 科学に基づいた技術を発達させ、ベストプラクティスを見出すために大学に資金提供をする。

大学

大学

大学

 

 

 

 

 

 

 

 

大学は、新しい技術、改善された安全検査に関して研究開発契約を立ち上げる。

任務:
大学研究機関の任務は、新しい原子力技術を設計し検査する科学的手段を取り入れ、ベストプラクティスを求めていくことである。