アイデアギャラリー:福島事故後の新たな原子力安全構築に向けたASMEのコンセンサス形成


ニルス・ディアス博士‐福島事故ASME特別調査チーム代表

ニルス・ディアス博士‐福島事故ASME特別調査チーム代表

アイデアギャラリーはForum on Energyの連続論説シリーズで、毎回ゲスト論説者が原子力に関する自らの考えを発表している。今回の論説者はニルス・ディアス博士(前米原子力規制委員会委員長)とウェスティングハウス・エレクトリック社のレジス・マッツィ氏である。

福島第一原子力発電所事故以降、世界各地にある原子力発電所はより安全性を高めることが可能であり、またそうしなければならないことが明らかになった。原子力は安全で信頼のおける、経済的な電気エネルギーであると考えるべきである。米国機械学会(ASME)の福島第一原子力発電所事故特別調査チームは、同チームが提案する原子力安全に関する新構想が原子力の継続的発展ならびに実現可能性において重要な役割を果たすことになると確信している。

レジス・マッツィ氏‐福島事故ASME特別調査チーム副代表

レジス・マッツィ氏‐福島事故ASME特別調査チーム副代表

同特別調査チームは2012年6月に「原子力安全の新構想‐Forging a New Nuclear Safety Construct」と題する報告書を発表し、重要な要素に関するコンセンサスの確保及び「オールリスク」の安全構築をグローバル化する最善の方法について検討を行うため、業界のリーダーに接触し始めている。また、12月4、5日には世界各国の原子力担当代表らによる原子力安全強化に向けコンセンサス確保を目的とした建設的対話がワシントンD.C.で実施され、ASMEは本ワークショップのスポンサーも務めた。このセミナーに加え、同報告書の発行を受けて米原子力エネルギー協会(NEI)、米国エネルギー省、米国原子力規制委員会、米国上院及び下院委員会の主要メンバーによる高官級会議も開催された。

ワシントンD.C.のワークショップには、原子力業界、規制当局、世界原子力発電事業者協会(WANO)、国際原子力機関(IAEA)、経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)など世界20カ国から著名なリーダーが出席した。2日間に及んだ同ワークショップは、一連の基調講演を含む本会議の他、個別の議題に関する分科会及びディスカッションが設けられた。

最初の本会議では、ASME専務理事のトーマス・G・ロクリン氏が原子力エネルギーを持続可能かつ温室効果ガスを排出しない電力オプションとして確保するためには、新たな原子力安全構築が必須であると述べた。また、福島原子力発電所の事故により原子力安全が新たに注目されるようになり、市民の安全を脅かすようなシステムについては世界が協力して対処すべきであるという認識も広まったとも述べた。

昼食会の基調講演者として、米国原子力規制委員会(NRC)のアリソン・マクファーレン委員長が「我々は(原子力に対する)一般の認識に正面から取り組まなければなりません。そして私自身、それを同組織において提唱しようとしています。」と述べた。

ワークショップ終了後のインタビューで、同特別調査チーム長官のニルス・ディアス博士はGreenwire.comのハンナ・ノーシー記者に対し次のように語った。「スリーマイル島の事故は25年にわたり原子力の発展に影響を与えました。チェルノブイリ事故による損失は5兆ドルでした。両事例はともに社会政治的構造に影響を及ぼし、社会を大きな混乱に陥れました。我々は今後、このような結果にならないように被害を最小限に抑えなければなりません。」現在のところ、福島事故による大規模な放射能被害は報告されていないが、社会政治及び経済においては深刻な影響が出ている。安全構築は、このような結果を防ぐもしくは最小減に抑えることを目的としている。

朝食会の基調講演者であるWhitehouse Chronicleのホスト兼製作責任者のルウェリン・キング氏は、「福島の場合、設計限界を超える事故に遭ってしまった。」と述べた。

福島第一原子力発電所や他の原子力事故から、原子力事故は社会政治的及び経済的混乱という深刻な混乱をもたらし、これにより社会は甚大な損害を受ける、という教訓を我々は学んだ。報告書では、世界中にある原子力発電所の設計及び運転方法を改善し、設計基準を超える事象への耐性を高め、オールリスクアプローチ手法を用いて社会を深刻な混乱から守るという必要性を満たすべきであると提案している。すなわち、「まれにみるが想定可能な事象」に見舞われた場合の安全性を確保すべきである。

特別調査チームが提案する構想では、次のような複数の目標を掲げている。

1.包括的な目標及び枠組みの提供を通じて、公衆衛生と安全性の保護を強化し、また深刻な社会政治的及び経済的混乱を防止するために、既存及び新たな安全構想を土台とする。

2.原子力発電の安全性ならびに事故対応の強化を目的とした設計、建設、運転及び管理に取り組む。

3.内的及び外的要因を含む幅広い課題に取り組むため、まれにみるが想定可能な事象などあらゆるリスクを考慮する。

4.安全原則は稼働中、建設中、設計段階にある全ての原子力発電所に適用する。原子力エネルギーを安全で信頼でき経済的な電源として今後発展させることを目標とする。

5.世界が原子力安全について足並みを揃えるため、文化、規制構造、政治に関係なく原子力発電所の所有者、運転者、サプライヤー、規制当局の間で世界的なコンセンサスを形成する。

多くの業界リーダーがこの新たな原子力安全構想を前向きに受けとめており、世界中の原子力業界で既に実施されている作業の強化にプラスとなると確信している。

次のステップは?特別調査チームの共同代表であるレジス・マッツィ氏は次のように語る‐「我々は今回のワークショップの結果を十分理解した上で、次に何をすべきか見極めなければならない。ここで生まれたイニシアチブの改善・促進に向けていち早くスタートしたい人々と連携すべきである。新たな原子力安全構築に対する世界的な合意を目指した基準及び指針とは、短期的な作業を通じて生まれるものである。」

本特別調査チームは、ワークショップを通じて以下に示すような新たな原子力安全構築のあるべき姿に対する一般的なコンセンサスが得られたと確信している。

1.業界主導:国を代表する公共事業者が中心的グループとなるべきである。同グループはまれであるが想定可能な事象による深刻な事故の防止、阻止、緩和を目的とした戦略の開発及び実施においてリーダー的役割を果たす。

2.単純明快:計画は一般市民にとって簡潔かつ効果的に伝わるものであり、社会的信頼の再構築につながる。

3.進化的:新たな原子力安全構築を通じて策定された基準の規格化及び業界での実施を可能にする既存の枠組みを足場とする。

最後に、ニルス・ディアス博士は次のような言葉で世界的な取り組みの重要性を強調した:「とある場所で生まれた原子力安全新構想は、すべての場所に適用する構想である」。また、マーク・ゴールドスミスASME会長は「これまで多くの取り組みがなされてきた一方、多くの作業が手つかずのまま残されている。世界の原子力をより良いものにするため、困難な作業に着手すべき時がきた。」と述べている。

ニルス・ディアス博士‐福島事故ASME特別調査チーム代表

レジス・マッツィ氏‐福島事故ASME特別調査チーム副代表

同特別調査チームは2012年6月に「原子力安全の新構想‐Forging a New Nuclear Safety Construct」と題する報告書を発表し、重要な要素に関するコンセンサスの確保及び「オールリスク」の安全構築をグローバル化する最善の方法について検討を行うため、業界のリーダーに接触し始めている。また、12月4、5日には世界各国の原子力担当代表らによる原子力安全強化に向けコンセンサス確保を目的とした建設的対話がワシントンD.C.で実施され、ASMEは本ワークショップのスポンサーも務めた。このセミナーに加え、同報告書の発行を受けて米原子力エネルギー協会(NEI)、米国エネルギー省、米国原子力規制委員会、米国上院及び下院委員会の主要メンバーによる高官級会議も開催された。

ワシントンD.C.のワークショップには、原子力業界、規制当局、世界原子力発電事業者協会(WANO)、国際原子力機関(IAEA)、経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)など世界20カ国から著名なリーダーが出席した。2日間に及んだ同ワークショップは、一連の基調講演を含む本会議の他、個別の議題に関する分科会及びディスカッションが設けられた。

最初の本会議では、ASME専務理事のトーマス・G・ロクリン氏が原子力エネルギーを持続可能かつ温室効果ガスを排出しない電力オプションとして確保するためには、新たな原子力安全構築が必須であると述べた。また、福島原子力発電所の事故により原子力安全が新たに注目されるようになり、市民の安全を脅かすようなシステムについては世界が協力して対処すべきであるという認識も広まったとも述べた。

昼食会の基調講演者として、米国原子力規制委員会(NRC)のアリソン・マクファーレン委員長が「我々は(原子力に対する)一般の認識に正面から取り組まなければなりません。そして私自身、それを同組織において提唱しようとしています。」と述べた。

ワークショップ終了後のインタビューで、同特別調査チーム長官のニルス・ディアス博士はGreenwire.comのハンナ・ノーシー記者に対し次のように語った。「スリーマイル島の事故は25年にわたり原子力の発展に影響を与えました。チェルノブイリ事故による損失は5兆ドルでした。両事例はともに社会政治的構造に影響を及ぼし、社会を大きな混乱に陥れました。我々は今後、このような結果にならないように被害を最小限に抑えなければなりません。」現在のところ、福島事故による大規模な放射能被害は報告されていないが、社会政治及び経済においては深刻な影響が出ている。安全構築は、このような結果を防ぐもしくは最小減に抑えることを目的としている。

朝食会の基調講演者であるWhitehouse Chronicleのホスト兼製作責任者のルウェリン・キング氏は、「福島の場合、設計限界を超える事故に遭ってしまった。」と述べた。

福島第一原子力発電所や他の原子力事故から、原子力事故は社会政治的及び経済的混乱という深刻な混乱をもたらし、これにより社会は甚大な損害を受ける、という教訓を我々は学んだ。報告書では、世界中にある原子力発電所の設計及び運転方法を改善し、設計基準を超える事象への耐性を高め、オールリスクアプローチ手法を用いて社会を深刻な混乱から守るという必要性を満たすべきであると提案している。すなわち、「まれにみるが想定可能な事象」に見舞われた場合の安全性を確保すべきである。

特別調査チームが提案する構想では、次のような複数の目標を掲げている。

1.包括的な目標及び枠組みの提供を通じて、公衆衛生と安全性の保護を強化し、また深刻な社会政治的及び経済的混乱を防止するために、既存及び新たな安全構想を土台とする。

2.原子力発電の安全性ならびに事故対応の強化を目的とした設計、建設、運転及び管理に取り組む。

3.内的及び外的要因を含む幅広い課題に取り組むため、まれにみるが想定可能な事象などあらゆるリスクを考慮する。

4.安全原則は稼働中、建設中、設計段階にある全ての原子力発電所に適用する。原子力エネルギーを安全で信頼でき経済的な電源として今後発展させることを目標とする。

5.世界が原子力安全について足並みを揃えるため、文化、規制構造、政治に関係なく原子力発電所の所有者、運転者、サプライヤー、規制当局の間で世界的なコンセンサスを形成する。

多くの業界リーダーがこの新たな原子力安全構想を前向きに受けとめており、世界中の原子力業界で既に実施されている作業の強化にプラスとなると確信している。

次のステップは?特別調査チームの共同代表であるレジス・マッツィ氏は次のように語る‐「我々は今回のワークショップの結果を十分理解した上で、次に何をすべきか見極めなければならない。ここで生まれたイニシアチブの改善・促進に向けていち早くスタートしたい人々と連携すべきである。新たな原子力安全構築に対する世界的な合意を目指した基準及び指針とは、短期的な作業を通じて生まれるものである。」

本特別調査チームは、ワークショップを通じて以下に示すような新たな原子力安全構築のあるべき姿に対する一般的なコンセンサスが得られたと確信している。

1.業界主導:国を代表する公共事業者が中心的グループとなるべきである。同グループはまれであるが想定可能な事象による深刻な事故の防止、阻止、緩和を目的とした戦略の開発及び実施においてリーダー的役割を果たす。

2.単純明快:計画は一般市民にとって簡潔かつ効果的に伝わるものであり、社会的信頼の再構築につながる。

3.進化的:新たな原子力安全構築を通じて策定された基準の規格化及び業界での実施を可能にする既存の枠組みを足場とする。

最後に、ニルス・ディアス博士は次のような言葉で世界的な取り組みの重要性を強調した:「とある場所で生まれた原子力安全新構想は、すべての場所に適用する構想である」。また、マーク・ゴールドスミスASME会長は「これまで多くの取り組みがなされてきた一方、多くの作業が手つかずのまま残されている。世界の原子力をより良いものにするため、困難な作業に着手すべき時がきた。」と述べている。

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