原子力規制委員会について


原子力規制委員会(NRC)グレゴリー・ヤツコ委員長の先日の辞任に伴い、現在は委員会の役割と歴史を振り返る重要な時機となっている。以下に記すNRCの歴史の一部を読んで頂くほか、投稿記事「NRCに変革が到来」も必ず読んで頂きたい。

原子力規制委員会は、原子炉の安全性の監視、原子力施設の設置許可および低レベルから高レベルの放射性廃棄物管理に責任を有する5名の独立した識者からなる。

委員は米国大統領によって指名され、米国上院の同意により承認を受ける。任期は5年で、計2期連続で務めることが可能。辞職する委員の残存任期を務めるよう指名された委員は、辞職する委員の任期が終了する日まで職務を全うする。

委員は政治的イデオロギーの代表として行動しなければならない。5名の委員のうち、同一政党に属する委員は3名までにかぎられている。この場合、オバマ大統領により指名された候補者5名のうち少なくとも2名は民主党以外に属していなければならない。スヴィニーキ委員とウィリアム・ オステンドルフ委員は共和党員である。ウィリアム・マグウッド委員、ジョージ・アポストラキス委員と辞職予定のヤツコ委員長は民主党員である。

委員の経歴は以下の通りである。指名順に列挙。

クリスティーン スヴィニーキ委員

オバマ大統領は5月8日、クリスティーン・スヴィニーキ氏をNRC委員として2期目に再指名した。スヴィニーキ氏は最初、ジョージW.ブッシュ大統領による指名を受けて2008年3月28日に就任し、2012年6月30日に任期満了となる。

原子力エネルギー科学技術局、民間放射性廃棄物管理局、アイダホ州アイダホフォールズにあるエネルギー省アイダホ運転局など、米国エネルギー省内のいくつかの局に在籍し、原子力エンジニアとして勤務した。エネルギー省に勤務する以前は、ウィスコンシン州公共事業サービス委員会のエネルギーエンジニアとして勤務。米国上院の職員でもあった。

ミシガン大学原子力工学科で学士号を取得。米国原子力学会に在籍し、核不拡散の特別委員会を担当。(出典:公式NRC経歴欄

ウィリアム・マグウッド委員

ウィリアム・マグウッド氏はオバマ大統領に指名され、2010年4月1日に就任し、2010年6月30日に任期満了となった。2015年6月30日に任期満了となる2期目に再任命された。

NRC委員に任命される以前は、エネルギー省原子力エネルギー局の局長を勤めた。また、エネルギー省が提唱する「原子力2010」、「第4世代原子炉」を先導した。原子力エネルギー局局長に任命される前は、技術プログラム設計の次局長として原子力エネルギー局に勤務した。

民間セクターでは、ワシントンD.Cにあるエジソン電気協会で、電気公益事業研究および核政策プログラムを担当した。また、ペンシルベニア州ピッツバーグのWestinghouse Electric Corporationの科学者でもあった。

カーネギーメロン大学で物理学の学士号および英語学の文学士号を取得、ピッツバーグ大学で美術修士号を取得。(出典:公式NRC経歴欄

ウィリアム・オステンドルフ委員

ウィリアム・オステンドルフ氏はオバマ大統領によりNRC委員に指名され、2010年4月1日に就任し、2011年6月30日に任期満了となった。再任命され、2016年6月30日に任期満了となる2期目に再任命され、就任した。

委員に任命される以前は、科学工学公共政策委員会の会長および全米アカデミーズのグローバル科学技術審議会の理事長として従事した。

全米アカデミーズに従事する前は、国家核安全保障庁の副主任を勤めるほか、国家軍事委員会の職員を務め、戦略部隊分科委員会の助言役および事務局長として従事した。このほか、米海軍の士官でもあり、潜水艦隊を指揮し、米海軍兵学校では理数学部門の部長を務めた。

オステンドルフ氏は米海軍兵学校で、システムエンジニアリングの学士号を、テキサス大学およびジョージタウン大学で法律の学士号を取得している。テキサス州の弁護士団の一員である。(出典:公式NRC経歴欄

ジョージ・アポストラキス委員

ジョージ・アポストラキス氏はオバマ大統領により指名され、2010年4月23日に就任し、2014年6月30日に任期満了となる。

NRC委員に任命される以前、アポストラキス博士はマサチューセッツ工科大学の原子力科学工学科およびエンジニアリングシステム科の教授であった。またNRCの原子炉安全諮問委員会の会員であり、委員長を勤めた。また国際的な学術誌、Reliability Engineering and System Safety(信頼性工学システム保全)の編集長として勤務したほか、確率的安全性評価管理に関する国際会議を設立した。

アポストラキス氏は1969年、ギリシャのアテネ国立技術大学で電気工学の学位を取得した。また1970年には、エンジニアリング科学の修士号を、1973年にはエンジニアリング科学と応用数学の博士号をともにカリフォルニア工科大学で取得した。(出典:公式NRC経歴欄

グレゴリー・ヤツコ委員長

グレゴリー・ヤツコ氏は、ジョージW・ブッシュ大統領に指名され、2005年1月21日に就任。2009年5月13日、オバマ大統領によって委員長に昇格した。就任期間は2013年6月30日に切れる。2012年5月21日に、現職を辞任するとの声明を発表した。後任者が承認され次第、辞任が有効となる。

ヤツコ氏は委員長として指名される前、ハリー リード上院議員の歳出委員会会長を務め、リード氏の科学政策アドバイザーでもあった。リード議員の傘下に加わる前は、エドワード マーキー下院議員事務所の米議会の科学フェローであった。またジョージタウン大学の非常勤教授を務め、科学と政策の教鞭を取った。

ヤツコ氏は、コーネル大学で物理学と哲学の両分野で学士号を取得し、ウィスコンシン大学マディソン校で物理学を専攻し博士号を取得した。(出典:公式NRC経歴欄

アリソン・マクファーレン(候補)

アリソン・マクファーレン氏は、バージニア州フェアファックスのジョージメイソン大学で環境科学政策専攻の准教授である。マサチューセッツ工科大学で地質学を専攻し博士号を取得したほか、ラドクリフ大学のバンティング研究所、スタンフォード大学国際安全保障軍備管理センターおよびハーバード大学科学国際関係ベルファーセンターのような公共機関のフェローを務めた。また、社会科学研究協議会マッカーサー財団の国際平和と安全のフェローでもあり、全米科学アカデミーの原子力エネルギーと核兵器委員会の委員を務めた。

同氏はホワイトハウスによるアメリカの原子力の未来に関するブルーリボン委員会の一員であり、国の使用済み燃料処分場であるユッカマウンテンを評価した。

マクファーレン氏は原子力エネルギーを支持する立場にあるが、ユッカマウンテンに対する見解はリード上院議員が示す路線と合致する。氏は「Uncertainty underground: Yucca Mountain and the Nation’s High-Level Nuclear Waste(仮訳『疑念の地下-ユッカマウンテンと米国の高濃度放射性廃棄物)』」の著者でもある。

氏は、キーストーンセンターのエネルギー委員会の委員でもある(出典:ジョージメイソン大学経歴欄)。

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