アイデアギャラリー:世界は日本の原発再稼働への取り組みに注目している


アイデアギャラリーとは、ゲスト著者らが原子力エネルギーに影響を及ぼす諸問題についての見通しを示すForum on Energyの一連の記事を再度収載したものである。本日のゲスト著者は、日本エネルギー経済研究所戦略研究ユニット原子力グループのグループマネージャー、村上朋子氏。今回の記事は、5月16日付けのIEEJ月刊ニュースレターで公開されていたもので、許可を得てここに転載している。

murakami_t関西電力の大飯原発3号機および4号機が、3月23日に再稼働するという問題が注目の的になっているということについて、NSCは原発で実施されたストレステストの経過および結果がいずれも適切であったという評価を下した。その後、野田首相などの政治的リーダーが、原発を直ちに再稼働させることの必要性を表明した。一方、大飯原発を受け入れている福井県西川知事は昨年から、再稼働の前提条件として福島第一原発事故の教訓に基づいて新しい安全性基準を制定することを要求している。これに対し、原子力安全保安院は、首相の指示を受け、暫定的な安全性基準として、30項目の安全対策を提示し、福井県の原子力安全対策委員会は、これを全体的に許可する意思を示した。

それでもなお京都府や滋賀県などの近隣自治体が、暫定的な安全性基準の作成があまりにも早く、再稼働の決定は時期尚早であると主張したため、状況は依然として不安定なままとなっている。経済産業省の牧野副大臣は4月23日、京都府山田知事および滋賀県嘉田知事を訪問し、原発を再稼働すべきであるとの政府の見解について理解を求めたが、両知事とも慎重な姿勢を維持した。再稼働に関して大阪市橋下市長も、この問題の複雑性に加え、さらに批判的な見方をしている。再稼働に必要とされている地域社会や自治体の承認範囲を決め手となるのが、原発再稼働の決定要因となりつつある。

 

振り返ってみると、再稼働の条件は一度も明確にされていない。きわめて悲惨な事故に見舞われた場合の原発の頑健性を明らかにするためにヨーロッパで用いられるストレステストが定期検査後に原発を再稼働するための必要条件として採用されたときに、この問題の複雑化が始まった。4月に発足を予定していた新しい原子力規制機関は、未だ設立されていない。安全規制機関は許可や明確な基準のない状態で再稼働を承認し、政治家らに最終決定を委ねた。政治的判断と自治体の同意との区別があいまいなため、問題はさらに深刻化している。電力需給が逼迫する夏が早々と近づきつつある。日本の政策責任者は、全世界が日本のこの問題に対してどのように対処していくかを注目していることを認識しておかなければならない。

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