ジェフ・グリフィン博士:Forum on Energy Q&A


drgriffin福島事故後の数日間、核廃棄物の処理、汚染除去および環境改善を専門とした米国エネルギー省(DOE)研究所のひとつ、サバンナリバー国立研究所(SRNL)は、エネルギー省の原子力エネルギー対応チームと直接協働して情報を入手し、日本を支援した。SRNLの環境政策を担当する研究所副所長であるジェフ・グリフィン博士は先日、環境汚染除去、SRNLの汚染除去および浄化の経験、先日の東京電力代表団の受入れ経験について、Forum on Energyと対談した。

Forum on Energy:SRNLは核廃棄物と核物質の除去および浄化をどのように行い、これらに関する専門知識を得たのか。

グリフィン博士:SRNLは長年に亘って、サバンナリバーサイトへ技術的解決策を提供してきた。SRNLが国立研究所になるずっと前から、われわれは施設の核処理過程の開発および展開に係る技術的リーダーシップを発揮することによって自然と規模を広げていき、施設の浄化と汚染除去活動に関するあらゆる側面おける技術的リーダーシップと同レベルのものを発揮するまでにとなった。われわれは、数十年かけて経験と膨大な処理知識を得ることができ、施設が直面する新たな課題にすぐに生かすことができた。この間に革新的な浄化戦略を展開させ、処理過程を展開して確認し、規制に関する議論の支援を行った。このような分野におけるSRNLのリーダーシップと能力により、サバンナリバーサイトは冷戦から抱えていた環境浄化問題への取り組みにおいて著しい進歩を遂げることができた。これらの問題を扱うためのアイデアを生み出すには、優れた知性が必要であったため、このおかげでShielded Cellsや放射性物質研究所などの多くの重要な物理学的な資源が設置されるようになった。

サイトと一体に生産から浄化までがきわめて強固に統合されたことは、今ではエネルギー省の浄化施設のより広範囲で適用されているSRNLの専門知識と能力を強化した。われわれは現在、特にハンフォード施設と、ポーツマスおよびパデューカの施設を定期的に支援しており、日本国民が直面している気の遠くなるような汚染除去作業などのエネルギー省管轄外の取り組みに対しても自らの経験を提供している。

われわれは、SRS(サバンナリバーサイト)の廃棄物の除去における経験と専門知識を強化するのに数十年を費やしており、地球規模の核物質除去作業に対してSRSと同じ判断や技術的解決策を適用している。

Forum on Energy環境汚染除去分野におけるSRNLの大きな成功については、どのようにお考えか。

グリフィン博士: SRNLは、汚染除去に対して何度か大きな成果を出している。特に注目すべきかつ永続的であると考えられるのは、米国で唯一稼働している高レベル廃棄物ガラス固化施設の技術的基礎の開発である。特に、SRS軍事用廃棄物処理施設(DWPF)による廃棄物処理により、SRSは50年経過した廃棄物タンクを閉鎖することができるようになった。今日もSRNLは、実際に存在する廃棄物を用いて、それぞれの重要工程を小規模に実施することによって、DEPFで各バッチの廃棄物をガラス固化する資格をもっている。

絶大なスケールでDWPFはわれわれの成功の頂点に上り詰めたが、DWPFへの技術的基礎はSRSやそれ以外の今日まで成功し続けている汚染除去の他の領域や側面にも適用されている。DWPFの技術的基礎を開発したのは、ノウハウや創意工夫である。たとえばわれわれは、セメント系材料の経験および専門知識を用いて先日、サバンナリバーサイトの古い生産炉をうまく現場廃炉することが可能な特殊グラウト材を開発した。そして今日、DWPFの成功によって得られた経験と専門知識を用いて、ハンフォード施設で建設されているさらに大型で複雑なガラス固化施設を支援している。この他にも、これに似た実例が数多くある。

SRNLの他の大きな成果は、エネルギー省環境管理(EM)研究所に任命されたことである。その直後に、国立研究所と名付けられたが、机上のコンセプトやアイデアを汚染除去や浄化の実現可能な技術にうまく取り入れる能力が認められ、EM国立研究所に指名された。

Forum on Energy環境政策担当の研究所副所長として、現在優先して行っていることは何か。

グリフィン博士:現在優先していることは、引き続きSRNLで汚染除去の専門知識と能力の向上を図り、米国をはじめとする世界中にみられる環境汚染に対する重大な課題に取り組むことである。SRNLには、核施設の廃止措置と処分に必要な核廃棄物の安定化、地下水や土壌の浄化、または戦略や技術があるかどうかに関係なく、環境汚染除去問題に対する解決策を開発、展開することにおいて、非常に優れた実績がある。われわれは、米国と世界の環境汚染除去に対する課題に取り組むための能力および技術の向上を図ることができると考えている。また、これらの課題の取り組みにおいてわれわれは、新たな方法を学び、引き続きDOE-EMミッションの重要作業に取り組むことができるような新しい技術を開発し、展開することになるとも考えている。

Forum on EnergySRNLは福島の施設とその周辺環境を継続して汚染除去することに対して、どのように貢献することが可能か。

グリフィン博士:きわめて短期間で、2011年3月11日に福島で起きた地震と津波の悲惨な結果が、60年間進展させてきた米国の核廃棄物処理複合施設規模の環境課題を生み出した。これは、並外れて複雑な対応と浄化の課題を生み出した不可抗力の事象である。SRNLには、これらの課題に直接適用することができる専門知識と能力があり、われわれには、展開を成功させるための研究と技術を備えた研究業務の実績がある。まとめると、われわれには、日本が福島とその近郊に、地域社会や活気を取り戻せるよう早急に行動に移すための知識や経験の隙間を埋める機会がある。

Forum on Energy:SRNLは先日、東京電力(TEPCO)の代表団を迎え入れた。その際の情報交換で学んだこととは。東京電力とはどの程度連携して行動に移したいと考えているか。

グリフィン博士:まずは身の引き締まる思いであった。当然、記事をいくつも読み、原子炉が閉鎖される経過を見守っていたが、地震と津波が起きてからの数時間は、映し出された名誉や犠牲を十分理解できていなかった。私は原子炉施設と周辺地域の汚染除去作業の規模を知り、さらに身の引き締まる思いとなったが、わずか12ヵ月間における日本の大きな進展に強く感銘を受けた。

東京電力はわれわれの経験とアイデアに関心をもっているようなので、これに対して援助できたらと考えている。協力しながら直接的な技術を用いて解決することができる地域を特定しつつ、長期間の汚染除去作業に対する計画と引き受け内容を見直すための最初の取組みを支援することが可能である。われわれはこのほか、可能な限り広範囲の能力と専門知識を得るためのコミットメントの一環として、東京電力との連携案に向けてパシフィックノースウエスト国立研究所との協力関係も築いた。この協力関係によって、両研究所の専門知識と技術を能率的に利用し、国立研究所を広範囲に援助するための道筋を定めることができるようになると思われる。

われわれは、この作業工程を進める際には、東京電力から多くのことを学んだということを念頭に入れておくことも重要である。福島での浄化作業は、多くの技術的な課題を伴う長い作業工程となるが、開発した方法や適用する解決策によって、環境の反応と浄化に関する知識基盤の重要要素となる見識が、国際的な核/原子力社会に与えられると考えられる。

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