ラマー・アレクサンダー上院議員:Forum on Energy Q&A


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ベーカー上院議員とアレクサンダー上院議員、第2回日米ラウンドテーブルにて。

Forum on Energyは、米国の原子力エネルギーの局面を調査する第2回日米ラウンドテーブルに参加したラマー・アレクサンダー上院議員(テネシー州)に、一連の質問を行った。アレクサンダー上院議員の回答は、福島事故後の世界における原子力発電の政治的見通しおよび経済的見通しに触れたものとなっている。

Forum on Energy:福島第一原発事故から1年あまり、米国原子力規制委員会(NRC)は、30年ぶりに2基の建設・運転許可を発給した。かつて「原子力ルネサンス」と呼ばれていた動きの現状はどのようになっているか。

アレクサンダー上院議員:原子力ルネサンスの代わりに、私はこれを再復興と呼んでいる。調べてみると、「再復興」とは、何かを自覚し何かを認識することであり、今回の場合は我が国の原子力発電の重要性を認識するということになる。

明るい兆しは多い。テネシー州ではTVAがブラウンズフェリーを完成させ、ワッツバーに2基目の建設を完了させるための取り組みを開始している。のちに、ベルフォンテでの取り組みの着手許可も得た。NRCはジョージア州とサウスカロライナ州の2発電所の原子炉4基に対する新たな認可を交付し、同原子炉の設計に対するさらにいくつかの申請書が承認待ちとなっている。米連邦議会では、使用済み核燃料の管理方法について議論を交わしている。今年もこれまでに、大統領の指示で設置されたアメリカの原子力の未来に関するブルーリボン委員会では、使用済み核燃料の廃棄に関する報告を発表し、ビンガマン上院議員、ファインスタイン上院議員、マコウスキー上院議員および私はともに、使用済み核燃料の廃棄に対する永続的な解決法が得られるようなプロセスに着手している。今年行われたエネルギー・水資源歳出予算案に関する上院議会では、エネルギー省に、1ヵ所以上の貯蔵施設で、使用済み燃料を管理する試験計画に着手することを認可するよう発言した。昨年のエネルギー・水資源歳出予算案では、小型モジュール炉の新規建設に関する5年計画に予算を割り当てている。このプログラムが施行されれば、この小型モジュール炉に対する改革につながり、許可が得られることになる。これらの要因はすべて、再復興に向けられたものであり、私はこの国の原子力の未来に確信をもっている。

Forum on Energy:原子力の未来における小型モジュール炉の役割とは。

 

ラマー・アレクサンダー上院議員

ラマー・アレクサンダー上院議員

アレクサンダー上院議員:小型モジュール炉は、建設にかかるコストが少なく、電力会社や企業は、これまでサイズが問題で原子炉を収容することができなかった施設で、クリーンなエネルギーを生産できるようになる。EIAでは、2035年までに電力需要が23%増加し、公害を出さない電力の70%が原子力になると推定しており、これは特に重要なことである。私は数年前、新しい原発が100基必要であると提言した。古い原子炉をいくつか交換しなければならなくなるだけでなく、電力需要の増大に応えなければならなくなるということを考えれば、私は提言したことは間違いではないと今も考えている。投資額がはるかに少なくなれば、原子力エネルギーの魅力がさらに高まるのではと思われる。

Forum on Energy:米国の原子力の未来に関するブルーリボン委員会で最終報告が発表された今、米国はどのようにして使用済み核燃料の貯蔵という困難な課題への取り組みを開始するのか。

アレクサンダー上院議員:ビンガマン上院議員、ファインスタイン上院議員、マコウスキー上院議員および私はともに、長期間にわたってブルーリボン委員会の提案事項を実施するための包括法案を作成している。短期的には、エネルギー・水資源歳出予算案に盛り込まれた使用済み燃料の管理に関する超党派の試験計画が、最初の良い第一歩となっている。この試験計画は、ユッカマウンテンに賛成であるか反対であるかに関係なく必要である。この試験計画の実施がうまくいけば、国民の信頼を回復するだけでなく、使用済み核燃料の廃棄に対する責任を果たしてこなかった連邦政府にうんざりしていた企業の信頼も、回復することができるようになると考えられる。やるべきことはまだ残されているが、私はこの問題を解決するために、同僚たちとともに動き続けていくつもりである。

Forum on Energy:日本では停止中の原子炉を再稼働するかどうかについて議論が行われているが、日本が原子力に対する信頼を低下させたことによる影響には、どのようなものがあるか。

アレクサンダー上院議員: 54基の原発を停止するという決定について、日本から新しい報告が毎日得られているようである。ロイター通信社は今年5月6日、最後の原子炉が閉鎖されたことを報じ、国民が「2つの不安(原子力の安全性に対する懸念と、原子力なしで生活していけるのかどうかという疑念)の狭間で揺れ動いている」と述べた。工場を閉鎖し、稼働を夜間または日中のいずれかにしているので、十分な電力を確保することができているとのことであった。日本エネルギー経済研究所は、原子炉をすべて閉鎖した場合、日本のGDPは3.6%低下し、20万人の職が失われることになると推定している。日本はこのほか、電力供給のギャップを埋めるため外国からの天然ガスの輸入にさらに依存しなければならず、これは日本経済の大きな負担となっている。御前崎市の石原茂雄市長が昨年、Bloombergの記事に、「原子炉の稼働を維持しなければ、日本の経済は衰え、若者は祖父母だけを残して海外へ移住することになるだろう。」と述べたことが引用された。クリーンで信頼性が高いベースロードの電力量が十分になければ、日本の人々が慣れてしまったこの水準で国を成長させることはほぼ不可能である。

Forum on Energy:天然ガスの価格が過去最低となったのに、公共事業会社が新しい原子炉に投資するのはなぜか。

アレクサンダー上院議員:答えは簡単。公共事業会社は、ひとつのバスケットに卵をすべて入れるのは危険だとわかっているからである。米国の天然ガスの価格は原子力の新規建設を妨げるものとなっており、エネルギー専門家は、米国は大量の天然ガスを貯蔵しているため、天然ガスの価格は当面低いままであるか、近い将来さらに低くなる可能性が高いということを認識している。一方で、大半の人が天然ガスの価格が5~6年前に急上昇したことを覚えており、公共事業会社は発電源を多様化することで、そのような価格異常から需要家を保護することができるようになるということを理解している。

公共事業会社も長期的な投資が必要なため、決定にあたっては今後数十年かけて発電量を見守る傾向にある。われわれが有する原子炉は少なくとも60年間、おそらくそれ以上は安全に稼働させることができるが、原子力への長期的な投資が求められている。

天然ガスは化石燃料であり、原子力は完全にクリーンであるということがもうひとつの答えである。天然ガスによる発電は石炭よりクリーンであるが、原子力は二酸化炭素を全く排出せず、(水力はクリーンでベースロードであるため)ほとんどのクリーンなエネルギー源とは異なり、ベースロード電力に使用することができる。

これらの要因はすべて、原子力の有望な未来に向けられている。私の見解では、原子炉から得られる電力の大部分(増加していると考えられる)を使用せずに、米国が世界の電力の25%を消費するという考えは非現実的である。