マット・ベネットとロバート・ウォルサー:エネルギーフォーラムQ&A


サード・ウェイは、ワシントンD.C.を拠点とするシンクタンクで、“中道を目指す新思想”を強調している。

Matt Bennett Third Wayサード・ウェイの上級副社長で共同設立者のマット・ベネット氏は、「福島からの正しい教訓」という記事を執筆した。ベネット氏の結論は、津波とそれに続く福島第一原発の非常に恐ろしいニュースにも関わらず、米国は、原子力エネルギーが危険過ぎるという前提に突き進んではいけないというものだ。

ベネット氏は、次のように書いている。「逆もまた真なりである。米国が原子力エネルギーを発電量を構成する重要な一部として位置付けないとすれば、それは非常に危険である」

Forum on Energyは、サード・ウェイのクリーン・エネルギー・プログラムの上級アドバイザー、ベネット氏とロバート・ウォルサー氏に一連の質問をおこなった。彼らの回答は、福島での出来事の検証、現状の評価、そして、米国と世界の新興マーケットにおける原子力エネルギーの未来について語っている。

Robert Walther Third WayForum on Energy:日本、米国、そして世界にとって、福島から学ぶべきことは?

サード・ウェイ: 一年前に福島の発電所を襲った津波のニュースは、本当に恐ろしいものである。災害の後一部の人々は、原子力エネルギーは非常に危険であるという結論に達した。それは日本だけでなく、ヨーロッパや米国も同じであった。我々は、逆もまた真なりと考える。原子力エネルギーを発電量を構成する重要な一部として位置付けないとすれば、それは非常に危険である。地震と巨大な津波が福島の発電所に与えた被害により、世界の原子炉の安全性と規制管理に疑問の声が生じたことに誰も異を唱える者はいない。米国の場合、産業界と原子力規制委員会は、故障が疑われる、あるいは海岸に近い数多くの原子力発電所の安全性を直ちに評価して強化した。回答が出されるのを待っている根深い疑問は、まだまだ存在する。回答が出た場合、福島から学んだ教訓は、世界中の原子力発電所を不慮の出来事から守ることに利用されなければならないということだ。

Forum on Energy:日本で放射能漏れに対して強い懸念が生じたのは当然だが、それが原因となる負傷や病気は発生していないと考える。化石燃料や再生可能エネルギーと比較した場合、原子力発電の健康上のリスクと利点は?

サード・ウェイ: 原子力エネルギーの安全性が証明されているのは事実であり、発電において世界の主要な燃料である石炭に比べて、健康に対するリスクは遥かに低い。少なくとも風力やソーラーなどの再生可能エネルギーが基準になるまで、石炭、原子力、および天然ガスに関して最も重要な問題は相対的リスクである。

原子力エネルギーの相対的リスクは非常に低い。リスクにおいて最も極端な指標、致死性について考えてみる。原子力エネルギーによる死亡者はゼロである。スリーマイル島で発生した米国史上最悪の原子力エネルギー事故や、その他米国の民間における原子力エネルギーの歴史で発生した原子力発電所の放射線事故において死亡者はいない。福島の場合も、現在までのところ死亡者はいない。一方昨年だけで、米国において21人の炭鉱夫が、石炭の吸込みが原因で死亡している。これでも少ない年であった。2010年には、約50人が命を落としている。石炭の危険性は、決して炭鉱夫だけのものではない。石炭火力発電所の汚染により、米国では毎年約13,000人が死亡していると推測される。

もう一つのリスク要因は、気候変動である。この場合も考え得る限り、原子力エネルギーによる影響はゼロである。原子力は、温室効果ガスを放出しない。一方石炭は、米国における主要な発電源の中で最も温室効果ガスを放出している。我々は、石炭から原子力などの低炭素排出源に移行すべきだと信じる。

Forum on Energy:日本では定期点検のためにほぼすべての原子炉を停止し、地方政府が原子炉の再稼働に反対している。日本が原子炉を再稼働しない場合、どのような問題が発生するか?

サード・ウェイ: 福島第一の事故後、日本は炭素排出と濃度が高くなり、電気料金も大きく上がった。日本は国内にエネルギー供給源を持たず、長年コストの高い石炭、石油、および天然ガスの輸入に頼ってきた。エネルギーの独立とコスト削減を目的に、日本はその電力の半分以上を原子力から得るという長期計画を立てていた。ブレークスルー研究所の調査の結果、日本は災害から半年以内で炭素排出量が4%上昇し、炭素濃度が15%高くなった。一方天然ガスは、石炭や石油に比べると遥かにクリーンであるが、日本では大変高価で、米国の約$2.00/MCFと比較して約$15.00/MCFである。一連の原子力を天然ガスやその他の化石燃料に変えると、日本の物価が上昇する。日本は、すでに30年ぶりの貿易赤字を記録している。

Forum on Energy:福島は、ヨーロッパ、中東、アジアなど世界の原子力マーケットにどのような影響を与えるか?

サード・ウェイ: 長い目でみて福島は、現在原子力に強く依存しているヨーロッパから、原子力の新時代を迎えようとしている中国とインドが存在するアジアへと、原子力エネルギーの地域バランスを変えるかも知れない。中国とインド政府は、発展する経済と現在はエネルギー不足の生活を送っている合計10億を超える人々に電力を供給するため、野心的な原子力拡大計画を推進している。両政府は、災害を目撃し、原子力発電所が巨大な地震と津波に耐え、人命を失わせなかったことで、原子力エネルギーの安全性を確信した。多くのヨーロッパ諸国、例えばドイツ、スペイン、イタリア、およびスイスでは、原子力エネルギーの使用に不安が生じ、反対へと大きく傾いている。おそらく最も極端な例がドイツで、政治的に強力な反原発の議員連合が存在するため、原子力発電の廃止を決定した。

Forum on Energy:米国の原子炉増設は停滞しているが、その理由は福島とは別のものであろう。米国は、国内原子力発電の開発に適切に取り組んでいるのだろか?

サード・ウェイ: ほとんど注目されていないが、オバマ大統領と共和党の間で発電における原子力エネルギーの重要性について合意ができている。しかし、NRCがジョージア州の2基の新しい原子炉建設を認可したものの、米国において12基の新たな原子炉が建設されるという望みは不透明になった。しかし新時代への期待は、福島が原因で停滞したのではなく、天然ガスの価格が記録的に下がり、新原子炉の資本調達に欠かせない政府の融資保証が実現しないためだ。

米国のエネルギー政策の合意には共通基盤があり、そこには安全かつ炭素排出のない電気を供給する原子力エネルギーの拡大使用が含まれている。このためには、明確で安定した長期的な政府政策が必要である。リスクとは、完全に正確な意味で捉えられるべきだ。公共事業は、民間資本へのタイミングの良い接触が求められる。我々がこの事を達成できるなら、また経済、環境衛生、そして気候変動に対処しなければならないので、国内は原子力の新時代を迎えるだろう。

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