豊田正和:新しいForum on Energyへの期待


toyoda_pic11042011年3月11日の福島第一原子力発電所事故から約1年が経過した。国の電力の約30%を供給している日本の54の原子炉ほぼすべてが、現在稼働停止となっている。日本の経済は、電力不足、燃料費の急騰、CO2排出量の増大という重大な課題に直面している。この世界的状況に鑑みて、福島事故後に原発から撤退することを決めた国はドイツなどごくわずかであったが、ほとんどの原子力推進国は原子力計画をいくぶん遅延させてはいるものの、政策は施行し続けているように思われる。

今後20年間の原子力発電量を4~6倍に増大させることを計画している中国やインドなどのアジア諸国では、原発の安全を保証するための人材を確保するのに苦戦している。さらに、「アラブの春」の動向とイランの核計画に対する制裁措置が原油価格の高騰の原因となっており、世界経済に影を落としている。原子力開発を一時中断し遅延させると、世界の温暖化問題の解決はきわめて困難となる。要するに、われわれは経済の先行き不安のなかで生きているということである。

この先行き不安を取り除くカギは、原子力の安全性を確保することである。これは単に、技術や安全性基準、人材開発のことだけを言っているのではなく、国家政府と、地方自治体、規制機関および企業との間の適切なガバナンスのことについても言っている。日本および米国は、アジアを含む世界中の原子力発電所の安全性を確保するための技術、基準およびガバナンスを提案できるよう協働していかなければならない。Forum on Energyは、世界の開発を厳重に監視しながら安全な原子力発電所を推進するために、日米間のみならず世界各国間の密接な協力関係を築いていくための頑強なプラットフォームとして機能することが期待されている。

-豊田正和著、日本エネルギー経済研究所理事長

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